【感想】『聖なる夜に君は』を季節外れで女子大生が読んだ
こんにちは〜!
今回は短編集『聖なる夜に君は』を読みました。
題名からしてわかりますがクリスマスに関する短編が入ってる本です。
響き的に幸せハッピーなリア充話がわんさか入ってそう。
ですが、実際はしんどい話も入っていたりします。
今回はその中でも私の大好きな奥田英朗の「セブンティーン」の感想を書いていきます〜!
あらすじ
高校生の娘を持つ由美子という女性が主人公。
ある日娘の明菜が、クリスマスイヴに友達の家に泊まると言い始めた。友達の家なんて嘘だ。最近彼氏ができたことも知っている。由美子は、母親としてどのような態度を取ればいいのか悩む。そんな時に、友達の愛ちゃんの母親から「クリスマスにお世話になるようで」と電話がかかって来る。
冒頭
子供は昔のことなんて少しも覚えていてくれない。三歳の誕生日にキティちゃんのリュックを買ってあげたことも、五歳の誕生日に手作りケーキを焼いてあげたことも、七五三で十万円もする着物を着せてあげたことも、高二になる明菜はきれいに忘れてしまっている。
感想
また奥田英朗かい!って感じですが、好きだからしょうがないですよね。
というか、奥田英朗目当てでこの本を買ったことすらバレていそう。
テーマからして面白かったです。
17歳の娘がクリスマスに彼氏と止まることを画策するのに気づく母親の話。
また、奥田英朗らしい言葉回しの心理描写が魅力的な作品でした。
私は結婚もしてない女子大生なのでアレですが、娘ができたらこんな気持ちになるのかなぁ、なるんだろうなぁという気持ちになりました。
結局母はどうするのか
あらすじで言いましたが、友達のお母さんから電話が来た時、母の由美子さんがどう出るのか気になりません?
最終的に母由美子は、娘の明菜の外泊を黙って許します。
見て見ぬ振りをするんですね。
まぁそこに至るまで、夫にクリスマスに出かけようとけしかけたり、友達の家に電話をかけようと悩んだり、他にも、部屋を漁って勝手に彼氏の見たりとか、手紙を見たりとか…。
まぁいろいろ奔走するんですが。
友達のお母さんから電話がかかって来た時、
「高校生が外泊するなんて、本当はいいことじゃないんでしょうが……」
明菜と愛ちゃんは、2人別々に外泊するつもりでいる。それぞれの彼氏と一緒に。どうしよう。なんて答えよう。
このシーンなんですよ!!山場!!!
めちゃめちゃネタバレでアレですが!!!(うるさい)
「いいえ、いいんですよ。うちなら」由美子はとっさに答えていた。それも明るく。「どうせ夫は帰りが遅くて、息子は塾ですから」
結局こうやって、娘の外泊をだまって許してあげちゃうんです。
母〜〜〜〜!!!!!!
母心難しい〜〜〜〜!!!!
私だったら嘘まではついてあげないなぁと思います。
ていうか、このシーン、いつ読んでもすごい度胸だな……。
相手のお子さんがボロ出したら「とんでもねぇ母親だ」って噂たちそう。
高校生だとそんなにママ友とかないからいいのか?
そんなこんなで明菜と友達の愛子ちゃんは救われたわけです。
ラストシーンの良さがすごい
なんて雑な見出し!!!
引用していきます。
「気をつけてね」
由美子は薄く微笑んで言った。いろんな気持ちを込めたつもりだった。
自分を大事にね、理解ある親で感謝しなさいよ、いい女になるんだよ、悔いのない青春を送ってねーー。
ひぇえ…おかん……。
いうまでもないと思うのですが、この、「理解のある親で感謝しなさいよ」って、子供の嘘を許してあげて、見ていてあげるってそうそうできたことじゃないですよね。
親ってそういうもんなのかなぁとか思います。
人間らしくも尊敬できる親像が作品内でできててすごいです。
面白かったです。
短編ということもあって、全体を通してテンポがよく面白かったです。
テーマもすごくキャッチー。
さすがとしか言えない作品でした(笑)
今回読んだこの『聖なる夜に君は』に入ってる作品は結構面白そうなので、また読んだら感想を書いていきます!
ではでは〜!